『LE NOZZE DI FIGARO』①

なぜ私が『フィガロの結婚』に出会ったのか・・・。
きっかけのきっかけは、大学3年生の時にT先生の「ドイツ歌曲唱法」という授業を受講していたこと、そして、その学年末に4年生のオペラ公演の裏方として仕事をしながら、先輩たちの『フィガロの結婚』を見たことにさかのぼる。
しかし、それでオペラに魅力を感じた、と思いきや、初めの私の感想は「声楽科はこんなことしないといけないの!?こんな恥ずかしいこと私には絶対できないわ・・・」と他人事で、まさか一年後に私もこの舞台に立っているとは・・・、と夢にも思わない状態だったのです。
その公演で、ちょうどバルバリーナ(フィガロの結婚相手"スザンナ"のいとこ)の役をされていたのが、全員声楽専攻生という中で、ただ一人ピアノ科の先輩でした。そして裏方の3年にも、同じようにただ一人声楽専攻以外の私が混じっていたことから、「来年のバルバリーナはみどりちゃんだね。」なんて周りから冗談で言われ、そんなことを言われるとなぜかだんだんその気になってきた私は、「絶対できない!」からすでに気持ちは「できるかな?」に変わっており、ゲネプロ→本番、と公演を見るごとにその気持ちは強くなり、最後には「やってみたい!」という希望の形になっていたのです。
そうして4年生になり、先生にお願いしてオペラの授業(「舞台表現法」)を、晴れて(?)受講できることになりました。
一番最初の授業では、配役を決めるためのオーディションならぬものがあり、そこで私は「Voi che sapete(ケルビーノのアリア)」を歌ったのを覚えています。配役は、その日のうちに発表され、私はなんと、、、スザンナに決まったのです!
もともと先輩の裏方をしていた時は、"フィガロ"のストーリーさえ知らなかった私が、いつの間に内容を覚えたのか・・・近い過去なのになぜか記憶にありませんが、授業を通してスザンナを演じ、いろんな曲を知り、たちまち"フィガロ"自体の魅力にとりつかれた私は、解説本を買い、「原作:ボマルシェ、台本:ダ・ポンテ」・・・「へぇ~」ということに始まって様々なことを知り、また違う本では自分がちょうど歌う、裁判の六重唱(第3幕)の分析が・・・「ヘ長調からハ長調への転調が、スザンナの登場に一致。」、「音の増2度進行がスザンナの怒りを表す。」・・・こんなことを知ると、またさらにワクワクしてきて、という繰り返しでした。
今振り返ってみて一番難しかったのは、やはり「着替えのアリア」(第2幕)。ケルビーノを着替えさせながら歌う。歌に合わせて帽子をかぶせ、、、スカートを着せ、、、あっちを向かせ、こっちを向かせ、、、もう大変です。動きながら、つい後ろを向いてしまって、お客さんにおしりを向けた状態で歌うことはNG。自分は前を向いていても、その前にケルビーノがいて、自分の歌う姿が隠れてしまったら、それもNG。リズムに合わせて服を着せる。(フレーズが終わっているのに手がまだ動いているのはNG。)
様々な難点がありましたが、一緒に演じた伯爵夫人とケルビーノとも綿密に打ち合わせをし、助言をもらいながら、なんとか演じ切ることができました。
自分で演じた部分で好きなのは、第2幕Finaleと第3幕の六重唱です。しかし、それよりも大好きなのは、やはり第4幕Finale。私は演じていませんが、ストーリーに合わせた歌の盛り上がりも素晴らしく、何度観ても感動する場面です。
この公演のために使った、抜粋用に自分たちで製本し、仕上げたフィガロの楽譜はもうボロボロですが、私にとって宝物そのものです。

MIDORI PIANO STUDIO

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